あ行
後染め(あとぞめ) | 生地に織り上げた後で染めること、また染めたものをいいます。 糸の状態で染めてから生地を織る先染めに対して、白生地の反物を染色することを後染めといいます。 後染めの場合、色無地などは布を浸け込んで染め、友禅の柄物などは刷毛や筆で色を挿していきます。その後、蒸しに掛け色を定着させます。 |
洗い張り(あらいはり) | 着物などのお手入れ方法のひとつで、仕立てを解いて縫い繋ぎ、反物の状態に戻してから洗う方法を洗い張りといいます。 水と専用の洗剤で洗い、汚れを落とします。その後、伸子(しんし)で生地を張って整えながら糊付けすることで、縫製で付いた筋なども消し、生地の風合いを取り戻します。伸子張り仕上げの他、板張り仕上げ、湯のし仕上げなどもあります。 洗い張りに出すことで生地がリフレッシュされ、寸法を変えて仕立てたり、可能であれば前後、裏表などの生地の入れ替えた仕立てもでき、新品のごとくに着物を蘇らせることができます。 |
袷(あわせ) | 袷とは、表地に裏地を縫い合わせた着物です。着用期間は10月〜5月末まで。 裏地にはすべりの良い羽二重などを用います。裏身頃、裏袖、裏衿、裏衽は胴裏とよばれる生地で、また以下裾までの部分には裾回しや八掛とよばれる生地で仕立てられます。留袖や訪問着などの裏は、表地と同じ共布で仕立てられます。 袷に仕立てる、袷仕立てというと、裏地つきのものということになります。 |
アンサンブル | アンサンブルとは「共に、一緒に」または「一揃い、全体」という意味のフランス語(ensemble)で、ドレスとコート、上着とスカート、靴とバッグなどの材質・色調の調和のとれた組み合わせを表します。 和服では、同じ布地で仕立てた長着と羽織をアンサンブルとして呼びます。 同じ素材を使用することにより、アンサンブルは改まった印象を醸し出します。 |
色留袖(いろとめそで) | 地色が黒の留袖に対し、黒以外の地色の留袖を色留袖といいます。 背中心と両外袖、両胸に家紋を染め抜き、裾に華やかな模様をあしらった慶事用のフォーマル着です。婚礼の席においては、黒留袖より少し軽い感じになりますので、親族のなかでもやや関係の遠い方がお召しになることが多いようです。 紋の入れ方を三つ紋、一つ紋にすると格の高さが和らぎ、訪問着感覚での着用が可能になります。 |
色止め(いろどめ) | ゆかたなど、残留染料を水処理で落としたのち、中和処理をして色止めを行うことをいいます。 |
色無地(いろむじ) | 柄のない無地のきもので、黒以外の色のものをいいます。 色や紋の数にもよりますが、どのような場面でも着られるきものです。 |
江戸小紋(えどこもん) | 1色染めで非常に細かい型押しの柄のきものをいいます。 江戸時代に武士の裃(かみしも)に用いられていました。遠目からみると無地に見えるほど柄が細かいため、色無地と同じように、どのような場面でも着られます。 |
絵羽模様(えばもよう) | 背や脇、おくみ、衿、袖などにも模様が続くように染めたものをいいます。 きもの全体が1つの絵になります。振袖や羽織によく用いられます。 |
帯揚げ(おびあげ) | 帯の結び目の形を整えるために使う小幅の布をいいます。 帯の中の結び目に当てて形を整え、後ろから前に回して締めます。たいていは帯をお太鼓に結ぶときなどに、帯揚げで帯枕を包み、お太鼓の上部の形を整え、前へまわして結びます。 |
帯締め | 帯がくずれないように締めるひものことをいいます。 |
帯止め(おびどめ) | 平打の帯締めに通して用いる装飾です。 材質により、盛装用、普段着用に分けられます。 |
か行
型染め(かたぞめ) | 木型や紙型を使って染める染色技術の一つです。 同じ模様のものを何枚も染めることができます。友禅染なども型染めの一種です。 |
ガード加工 | フッ素樹脂を主成分とした溶剤を布地の繊維に接着させ、水や油を瞬間的にはじく加工のことです。 ガード加工は、布の表面を被膜してしまう一般的な完全防水加工とは異なり、布地の織り目を塞がないため、撥水性・通気性ともに優れており、生地の風合いも損ないません。 |
仮縫い解き湯のし(かりぬいときゆのし) | 仮縫い商品を解き、反物の状態に縫い合わせて湯のし処理を行うことをいいます。 ※仮縫い解き湯のしは、商品が「留袖」「振袖」「訪問着」などの場合に行います。 |
着丈(きたけ) | きものを着用したときの実際の丈のことをいいます。 着丈寸法は肩山から裾までを計ります。 |
草木染め(くさきぞめ) | 天然の植物色素を染料に使用して染めたものをいいます。 |
黒留袖(くろとめそで) | 地色が黒の留袖のこと。黒以外の地色の留袖は色留袖と呼ばれます。 背中心と両外袖、両胸に家紋を染め抜いた、染め抜き五つ紋で、裾には華やかな模様をあしらった慶事用のフォーマル着です。結婚式や披露宴で、親族の方などに着用される正装の着物です。 黒留袖には白の帯揚げ、帯締め、半襟、足袋を合わせ、礼装用の草履バッグを用います(正式には肌襦袢もレース無しの筒袖のもの、裾除けなどの下着類にも白のみを用いることとされます)。 |
小紋(こもん) | 全体に細かい模様の入ったもの、またはそれを型染めした着尺地を総称していいます。 |
さ行
先染め(さきぞめ) | 糸の段階で色を染めたものを先染めといいます。 先染めの場合、染料の入った鍋に糸を浸け込んで染める、浸け染めがなされます。場合によっては煮たり、干しては浸けるということを何度も繰り返しますので、染料は繊維の奥深くまで入り込みますので、一般的に先染めは後染めよりも堅牢に染まります。 |
絞り染め(しぼりぞめ) | 布地をつまんだり、針で縫ったり、糸でくくったりしてから染料液に中に入れる染色技術の一つです。 染めたあとに、つまんでいたところをとると、その部分が白く染め残り、模様のようになります。 |
しみ抜き | 布地に付着した汚れを薬剤で取り除く処理です。 |
襦袢(じゅばん) | きもの用の肌着のことをいいます。 一番最初に身につけるものを肌襦袢、その上に着用するものを長襦袢といいます。 |
裾よけ(すそよけ) | 腰に巻きつけてまとう、いちばん下に着る下着のことで、腰巻ともいいます。 裾よけを付けることにより裾さばきが良くなり、また汗を吸収してくれるので、きものが傷みません。 |
染め | きものの色を染めることをいいます。 染めには、「炊き染め(たきぞめ)」「引き染め(ひきぞめ)」などの技法があります。 炊き染め |
染めかえ | 染めあがった反物の色を一度抜き、別の色に染めあげることをいいます。 染めかえは、「購入したきものにシミ・汚れが付いてしまった」「年齢的にきものの色が合わなくなってしまった」といった場合などに行います。 染めかえができるのは、後染めの絹きもののみです。大島紬などの先染めきものは染めかえることはできません。 基本的に、薄い色を濃い色に染めかえることはできますが、濃い色を薄い色に染めかえることは困難です。また、使用している染料によっては色がきれいに抜けない場合もあります。 |
た行
伊達衿(だてえり) | きものの二枚重ねを略して、衿の見える部分だけ二枚重ねて、あたかも二枚重ねて着ているように見せるために用いた衿のことで、重ね衿ともいいます。 重厚さ、華やかさを添えるものとして、晴れ着を着用する際に用いられます。 |
伊達締め(だてじめ) | きものを着るときに着くずれを防ぐために、長襦袢などの上に締めるものです。 |
縮緬(ちりめん) | 全体に細かいしわ(「しぼ」と呼ぶ)がある生地の総称です。 普通はタテ糸に撚り(より=ねじり)をかけず、ヨコ糸に強い撚りをかけた糸(強撚糸/きょうねんし)を使って織り、その後、温湯の中で揉みながら糊を抜くと布の表面に「しぼ」が出ます。 布面のしぼが空気を含んであたたかいため、縮緬を着る季節は袷(あわせ)の時期(10月~5月)が適しています。 |
付下げ(つけさげ) | 絵羽ではないが、きものに仕立て上がったときに、模様が肩山・袖山を頂点にして前身頃・後身頃の両面に、上向きに配置されるように染め上げたものをいいます。 |
道中着(どうちゅうき) | 外出用の上着で、普段着に着用します。略式コートにあたり、礼装時には用いません。 衿の形は、着物の衿に似た形状で裾に行くにしたがって衿幅の広くなる撥衿になっています。着物のように前を打ち合わせ、内側の紐(内紐)と衿先の外紐(飾り紐)を結んで着ます。おしゃれ着として、好みの生地や柄行で仕立てられます。 |
は行
羽織(はおり) | 着物の上着で、防寒や塵除け、おしゃれ目的で着用します。 衿は外側に折り返したようになっており、着物の衿に沿わせるようにして羽織ります。前には乳(ち)と呼ばれる輪があり、そこに羽織紐を付けて結んで着ます。道行きやコートと違い、室内でも着用していて良いとされます(ただしお茶席では着用しません)。 丈や生地、色柄については好みや着物との調和によって様々に選ばれます。 |
巾出し(はばだし) | 「絞り」や巾の縮んでいる生地などの布巾を一定に揃えることをいいます。 湯のし処理を利用して、生地巾を出す処理を行います。 |
半衿(はんえり) | 掛衿のひとつで、長襦袢の衿に縫いつける掛衿のことです。長さが衿の半分程度であることから、半衿と呼ばれます。 もともとは襦袢の衿につく汚れを防止する目的で、付け替えてられる衿を用いていましたが、現在ではそれ以外に、装飾の目的も持つようになりました。 半衿の素材は、縮緬や塩瀬、絽や麻など、いろいろあります。 半衿にも衣替えがあり、絽や麻などの夏物は6~8月(場合によっては9月のはじめ頃)に使用します。縮緬や塩瀬の半襟は9~5月に用いられます。礼装には白の塩瀬、白の絽を用いるのが一般的です。 刺繍やレース、ビーズなどの半衿もあり、目的やコーディネイトに応じて選ぶことができます。 |
ま行
丸帯(まるおび) | 通の帯幅の倍にあたる1尺8寸(約70cm)の広幅に織り上げた生地を二つ折りにして芯を入れ、とじ合わせて(片方を縫い合わせて)仕立てる帯で、最も格の高い帯とされます。 江戸時代頃からつくられ始め、明治大正期には花嫁衣裳や留袖などの礼装用に用いられました。 丸帯は重くて固く、結び難いことから、代わりに半分の幅でつくった袋帯が礼装に用いられるようになりました。紋入れ |
紋入れ(もんいれ) | 紋章をきものや羽織に入れることをいいます。紋入れには、抜き紋、縫い紋、刷り込み紋などの種類があり、格式により紋の種類と数は異なります。 |
や行
湯通し | 湯水の中に反物を浸し、製織中に付いた紬特有の糊化や油化などをそそぎ出す処理で、布地に光沢と柔らかさを与える工程です。 湯通しをしたのち、乾燥させてから湯のし処理を行います。 ※「湯通し」は、大島紬や結城紬など、生地が「紬」の場合に行います。 |
湯のし | 布地を蒸気の中をくぐらせて、布地を柔らかくするとともに、布地のシワや縮みを伸ばし、布巾を一定に揃える工程です。 湯のしには「機械湯のし」と「手湯のし」があります。 一般的な生地反物は「機械湯のし」、辻が花絞り、特殊商品、広巾生地などは「手湯のし」を行います。 ※「湯のし」では、布地についている汚れを取り除くことはできません。 |